【★3.5】ゴジラvsデストロイア【ゴジラの最期は100億点】

映画

今回見たのは【ゴジラvsデストロイア】です。

ゴジラシリーズは世代的にvsシリーズ直撃世代ですが、このデストロイアが公開されたのは1995年。私は当時2歳でした。

それなのにミレニアムシリーズより身近に感じるのは、親がVHSでvsシリーズを買っていたからです。それはもう繰り返し見ました。そういえばなぜか、vsメカゴジラだけはLDで持っていましたが…

そんななかでデストロイアは、vsシリーズの最終作。私も好きな作品です。昔見た美しい記憶とはいったん切り離して、大人になった今改めて見た時どう感じるか。そんな体験を最近は行なっています。

さて、さっそく総括すると

『人間ドラマは微妙だけどゴジラ最高の最期を描いた』

でしょう。

先にうーんと思った人間ドラマについて書きますね。個人的には希薄でした。

vsデストロイアでは1954年の1作目ゴジラと関連するキャラを出してくるのが特徴です。1作目に登場した山根博士の孫の青年(山根博士が養子としてとった人の子供なので血の繋がりはない)、オキシジェンデストロイヤーを作った芹沢博士と同じ物質を作った科学者、当時芹沢博士の研究を見ていた女性。

そしてvsシリーズを通して出てきた超能力者の三枝を中心として物語が描かれる……かと思ったらそんなことはありません。

この作品では「心臓部の原子炉に異変をきたしたゴジラをどうするか」で進行していきます。

そこで繰り出されるのが自衛隊のスーパーX3だったり、古代の地層から蘇った怪獣デストロイアだったりするのですが…ドラマとしては色々と中途半端です。

山根青年は祖父の影響でゴジラの研究をしておりGフォースへ勧誘されたが最初は断る。しかしGフォースに三枝がいると知ると、一転して参加を申し出てきた。それが憧れなのか恋慕なのかわからないけど、2人の掛け合いは少しある程度で特に友好にも恋愛にも展開はしない。

かというこの三枝も、今回は特にこれといった活躍がない。超能力を失いつつあり後輩の超能力者にやや下に見られるのだが、じゃあその後輩に対し何か伝えることがあるかと思うとそれもない。ゴジラやゴジラjrに同情する、これだけである。

物語的にはむしろ、山根博士のもう一人の孫、山根ゆかりと科学者の伊集院が主となって動いていく。wikipediaを見るとこの伊集院が主人公らしいのだが、いうてそんなに主人公感はない。オキシジェンデストロイヤーの類似(または同じ)物質「ミクロオキシゲン」を開発し、そのミクロオキシゲンを用いるデストロイアに対して超低温という弱点を見つけるなど活躍はする。するんだけど、ドラマというものはない。

ヒロインである山根ゆかりも、最初こそ伊集院との関係性が深まるのを描くのかと思ったらそれもない。一応途中でデストロイアで襲われているとこを助けられるシークエンスがあるのだが、それ以降特にこの二人については全く言及されない。なんか伊集院と一緒に行動をともにしてるなぁ、ぐらいである。

1作目でヒロインとして登場した本人が出演している老婆の方も、ミクロオキシゲンという物質を恐れているという描写だけで、特にそれ以上はない。

これだけ1作目と絡めた人物を出しているのだから、オマージュとか何かもうちょっと発展のしようがなかったのかな…と割と残念に思うところが多かった。

とはいったものの、これは怪獣映画。怪獣はどうだったかというと、結構満足な出来でした。

なにより、怪獣が出る場面が多い。デストロイアが幼体、集合体、完全体と進化していく工程があるので中盤も割と出番が多いし、なによりこの映画にはバーニングゴジラがいる。

そりゃもう、とにかくカッコいいですよ。

怪獣の出番が多いというのは子供としてはとても大事なことで、これだけで飽きずにみられる。ある意味一番嬉しいとこですね。

ただデストロイアとゴジラの関係性は意外と薄くて、ゴジラjrをデストロイアが殺すことで初めて因縁が生まれるというくらいまではお互いスルーしていたかもしれない。でもデストロイアの設定は「40年前に使用されたオキシジェンデストロイヤーにより地球に酸素がなかった古代の生物が蘇り、現代の環境に適応した怪獣」。間接的とはいえオキシジェンデストロイヤ―と関係する怪獣なのでテンションは爆上がりである。

デストロイアが微小生物として魚を食ったり、幼体となって自衛隊?と戦ったりする辺りは怪獣映画というよりパニックやホラー映画じみた感じもしましたね。少し怖かった記憶がある。

ニュースキャスターの山根ゆかりがデストロイア幼体に襲われるシーンは…子供ながらに興奮しました。あれで性癖を捻じ曲げられた気がします。

そしてバーニングゴジラ。もうビジュアルから最高なんですが、これがオープニングから登場。壮大な伊福部音楽とともに熱線を吐き街を壊すゴジラ、そしてタイトルクレジットと…ここはもう幾つ歳を重ねても最高です。

そんなゴジラが核爆発を起こすだのメルトダウンを起こすだので、Gフォースたちが色々考察し策を打っていくのもわくわくしましたね。最終的にはデストロイアをジュニアにぶつけ、ゴジラをおびき寄せデストロイアに消滅させてもらう作戦に出る。これもエゴや業が煮詰まってて良いです。

今回は火薬の量が多いのか、ゴジラが熱線を吐いて爆発するだけでももうなんか気持ちいいんですよ。オープニングと最後のデストロイアとの決戦だけでもぜひ見てほしい。いや、スーパーX3も見てほしい。めっちゃ強いし曲がめっちゃかっこいいんですわ。

そしてゴジラの死。特技監督の川北さんは金粉が得意とのことでvsシリーズでは効果的に使っています。モスラの鱗粉とかvsメカゴジラでのゴジラ復活後の戦いとか見せ場でよくつかってましたね。子供的にも見た目がわかりやすく派手で、印象に残りやすいのもvsシリーズの人気につながった気がします。

その金粉をゴジラがメルトダウンするシーンでも使い、もうこれ以上ない美しい最期として見せてくれました。シン・ゴジラ、ゴジラ-1.0とゴジラの死(仮死)を描写したものは最近もありますが、『怪獣王の最期』として描いたシーンとして今後これを超えるものは出ないと思います。伊福部音楽の「レクイエム」もほんと良い曲。

そしてゴジラが東京を死の街に変えメルトダウンした後、その放射能を吸収して復活するゴジラジュニア。一つの時代は終わったけど、ゴジラは終わらないと予感させるラストカットはもう感慨深い。

そしてエンディングで1作目の映像からvsシリーズのゴジラの映像をながして締める。

これ以上のエンディングがあるか?いやないね。

人間ドラマに焦点を置くとなんとも取り留めがなく物足りない宙ぶらりんな感じになりますが、ゴジラを中心としてみれば最高にカタルシスのある作品でしょう。

というところで今回の感想は終わり。他のゴジラ作品も見たくなっちゃうなぁ。

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